滂沱。
原作で泣いていたので泣くとは予想していたけれども。
画面構成、ストーリー、台詞まで、とても原作に近い、そう感じました。
その中で予想を超えてきたのは、「マリコの存在感」。
個人的な感覚としては原作では、「しーちゃん」の視点から「しーちゃん」の感情をトレースしてマリコを視ていたのですが、映画では「マリコ」が「しーちゃん」に対峙する人物として質量をもって存在している感じがしたのです。
「マリコ」の感情が流れてくるよう。
「しーちゃん」が大切で大切で大切で大好きで。
それ故に自分の重みで「しーちゃん」を歪めることが何より怖かったのだと思う。
言えない“助けて”
愛情を渇望するのに受け取り方が分からなくて、他人を、」何より自分を信用してなくて。
もどかしく、何て哀しい。
「マリコ」の存在が質量を持つことで、「しーちゃん」の怒りや口惜しさがより肌に近く感じるように思いました。
余談ではありますが、主演の永野芽郁さん。
「地獄の花園」でも感じたのですが、彼女の美しさは荒んだ環境ほど光るような。
一連のエピソードに疲れ果て、物憂い光の差す電車で帰る彼女の姿が美しくて。
くすんだ景色の中で、光を反射するガラス片のような硬質で清廉な美しさ。
華奢な姿に似合わぬ意思の強さを感じるような、不思議な魅力。