骨太です。
思い切り噛みついても、嚙み砕けない骨太感。
ドイツの著名な刑事事件弁護士のベストセラー小説の映画化作品です。
新人弁護士が受けた国選弁護人案件は 恩人が被害者の殺人事件だった。
案件受諾の葛藤から、真実追及の孤独な戦いへ。
恩人と、その家族との思い出は、優美で穏やかなアッパーライフに包まれた夢のようで。
まるで、夢から醒めていくように、孵化するように【過去】を脱ぎ捨てていく主人公。
勇気をもって過去の真実と対峙するその姿は、過去の失策に真摯に対峙しながら未来を築こうとする社会そのものの姿勢とも重なっていく。
終盤に映し出される落書きだらけの外壁を持つ主人公の弁護士事務所、その姿は直視し難い真実に溢れる現実を正しく認識しつつも強く歩もうとする彼の姿勢を感じさせるよう。
事件の本質を、自身の選んだ職業の本質を、人の尊厳の本質を飽かず探求していく主人公は、恐ろしく静かなクレバーさ。
初めて見るタイプのヒーローかな。